田舎の家のリフォームは

田舎の家のリフォーム事情

田舎暮らし物件を購入する際の物件選び、新築か?中古か?中古ならリフォーム済み物件を買うか買ってからリフォームするのか?様々な選択肢があります。
田舎家の購入における選択肢や、リフォーム事情についてまとめてみました。

田舎暮らしでの住宅は中古?新築?

田舎暮らしに限らず、家を購入・建築を検討する際、主に3つの選択肢があります。

  • 土地を買って、家を建てる(新築)
  • 新築分譲住宅を買う(建売住宅)
  • 中古住宅を買う
田舎暮らしを始める、移住するといっても、現在の住まいをそのままにして別荘や週末田舎暮らし・二地域居住のような使い方をする方、現在の住まいを処分(賃貸の場合は解約)して移住する方に分かれます。

週末田舎暮らし・二地域居住の方

前者の使い方は、資金的に余裕のある方に限定されますが、その用途・使用頻度によって物件購入の予算、選択肢に幅があります。趣味での別荘利用ということであれば、500万円以内の手頃な別荘・田舎暮らし物件を探される方もいますし、高級別荘地の物件や理想の土地を取得して新築される方もいます。

現在の住まいを処分し、移住する方

一方、後者のパターンでは現在の住まいを売却や賃貸し、その資金を移住先の物件購入や生活費(賃借する場合は家賃)に充当させるという方法、賃貸住宅に居住している場合は解約し、移住先で物件購入や賃借するということになります。現在の田舎暮らし物件市場ではこのパターンが主流ではないでしょうか?
一般的に移住者の多くは土地を取得して新築するよりも中古住宅を購入する傾向にあります。
田舎では土地の価格は安いですが、新築する場合は建築費は高くつきます。知らない土地でいきなり家を建てるよりも1,000万円前後の予算で中古物件を購入する方が移住生活をリタイアする際にもリスクは低く済む事があげられます。
予算を絞って500万円前後の中古物件を探される方も非常に多いですが、セカンドハウスではなく移住となれば、周辺環境・建物の程度など、移住後の生活がやっていける条件が整った物件探しとなり、根気よく探す必要があります。中々理想の物件に出会えない場合は少し予算を上げて探してみましょう。
また、本ページでは詳しくは書きませんが、まず賃貸物件での移住生活を体験し、その地域が気に入れば物件を購入するという方法もあります。

中古物件の魅力

別荘・二地域居住・移住、全ての方に共通して言える事ですが、予算・資金面での理由とは別に、中古住宅をあえて探される方も多くいます。
田舎の物件では、地域の気候・環境に合わせて先住者達の知恵が詰まった構造・建築物が多くあります。また、全国各地の物件を見てみると地域ごとに瓦、屋根の切り方、外壁の焼き板・漆喰の色、材質など、家の特色・構え・形が地域ごとに非常に異なり面白いものです。今の日本では地元の大工さん、職人さんが精魂込めて作り上げた、どっしりとした木造住宅が少なくなりつつあります。今新築で建てると7000万はかかるという様な良材を使用した家が1000万円前後で流通しているのも田舎暮らし中古物件市場の魅力です。自分の好きな雰囲気の家を探せる事は中古物件ならではの楽しみになるでしょう。

田舎の住宅設備はどうか

田舎物件での住宅設備について。都会で生活していると戸惑う事もある設備がいくつくか存在します。
例えば、灯油式給湯器、井戸(井戸ポンプ)、汲み取り式トイレ・浄化槽など。
また、田舎物件に限らず、寒冷地では不凍栓(水抜き栓)なども寒冷地以外にお住まいの方には不慣れな設備となります。

灯油式給湯器

都会での生活の場合、ガス給湯器が主流となります。
(昨今ではオール電化等の流れから深夜電力を利用したエコキュート・電気給湯器も多い)
田舎物件はどうでしょうか?
田舎では給湯器は灯油式のものが比較的多く、家の外に灯油タンクと給湯器が並んで設置されています。
都会と同じく、オール電化にしている住宅もあり、その場合はエコキュート等、電気給湯器なので戸惑う事はないと思いますが、灯油式給湯器の物件については、「どのようなものか?使い方は?灯油はどこに頼めばいい?」という質問を受ける事も多い。(不動産業者談)
灯油式給湯器自体はガス給湯器と同じく、室内に操作パネルがあったり変わりませんが、都会での都市ガスとは違い、燃料が常に供給されるわけではありません。
近くのガソリンスタンド等に灯油の配達を頼んだり、自分で購入しタンクへ給油が必要となります。

井戸

田舎では、上水道管が行き届いておらず、上水道を利用できない地域があります。そういった地域では井戸水や山水・湧き水などを引水して利用している事があります。井戸や湧き水を利用と聞くと一見、水道の蛇口からでなく昔のように井戸からバケツで水をくみ上げたり手動のポンプをイメージされる方もいるかもしれませんが、現在では基本的にはそのようなレトロな井戸はあまりなく、ほとんどが電気で動くポンプが設置されており、水道の蛇口を回すと自動的にポンプが稼働し水をくみ上げるようになっています。敷地内に井戸がある場合はポンプの電気代(月に数百円程度)がかかるだけで経済的です。


田舎で見られる公営水道以外の引水方法
  • 井戸
  • 共同井戸
  • 湧き水を引水
  • 自治会による上水道
上記のとおり、単独で所有する井戸以外にも「共同井戸」「湧き水の引水」「自治会による上水道(いわゆる私設水道・自治会水道)」があります。
共同井戸は周囲の家2~3軒と共同で管理する井戸で共同管理者の内の誰かの所有する土地に設置されているものを数軒へ送水しています。個人地に設置されていますが、昔から共同で利用しているというだけで特段書面や契約書などはなく、ポンプの電気代、故障時の修理代などを分担して利用します。
湧き水を引水の場合は、山水や川の水を井戸や貯水槽に貯め、ポンプで送水します。方式は井戸にちかいですが、水源が井戸のように地中から直接くみ出すのではなく、地表に出た水を利用しているという違いがあります。
自治会による上水道の場合は、市町村(自治体)ではなく周辺住民・地域(自治会や集落・隣保など)で管理する水源地から貯水槽へ貯めたものを引水しています。この場合の水源地については湧き水であったり井戸のようなものであったりと前述のケースと似ていますが、規模が大きく10軒~といった家へ送水できるだけの水脈を確保している事・貯水槽において浄化装置を通し飲用水として利用できるように水質管理されている事が多い。
注意点
公営の上水道以外を利用する場合、飲用水として相応しくない水質の井戸もありますので、年に一度は保健所の水質検査を受け、飲用水として利用できるか確認しましょう。共同の井戸や自治会管理による上水道については利用者の手で設備の清掃や点検・維持費用の負担、利用開始時に加入料等を請求される場合もありますので、そのあたりも物件購入時に要確認です。湧き水を引水していたり、物件敷地外に設置された井戸から引水しているというケースもありますので、井戸・湧き水等の場合は水源地の利用権限についても事前確認しておく必要があります。

汲み取り式トイレ・浄化槽

田舎物件では、昔ながらのトイレ(汲み取り式)がまだ残っている場合があります。
下水道整備が進んでいる昨今では珍しいですが、まだ下水道が整備されていない地域では「浄化槽」か「汲み取り式」になります。
田舎で見られる汚水処理方法
  • 農業集落排水
  • 合併浄化槽
  • 個別浄化槽
  • 汲み取り式
農業集落排水とは、いわゆる下水道と処理方法は変わりませんが、処理施設の規模は小さく、集落ごとに処理施設を作り管理している点が異なります。(居住するにあたっては下水道と利便性は変わりません。)
浄化槽とは、個人宅専用の小さい下水処理場みたいなもので、浄化槽の中でトイレのみを処理するみなし浄化槽(個別浄化槽)とトイレと宅内の雑排水を処理する合併浄化槽があります。平成13年4月以降は、合併浄化槽しか設置の許可がされていませんが、旧来の田舎物件では個別浄化槽のままの物件も多数存在します。両方ともトイレにおいては通常の水洗トイレの設置が可能で、トイレについては都会の物件と変わりなく利用ができます。
汲み取り式とは、昭和時代主流のトイレの汚水処理方法です。古民家や旧式の田舎物件では下水道・農業集落排水の整備が整っておらず、且つ浄化槽も設置していない物件がまだ存在します。汲み取り式トイレは昔で言うボットン便所という形式のもので、トイレの下に便槽が設置されているため、臭いが気になります。少し近代化した方式では簡易水洗トイレという、見た目は水洗式のトイレのようですが、よくみると底の部分にフタが付いていて、一定量の水や便の重みでフタが下に開き便槽へ流れるという方式のものもあります。
注意点
浄化槽の物件については、下水道や農業集落排水のように毎月の水道料金から下水道使用料は徴収されませんが、法令で浄化槽の保守点検義務があり、専門業者へ年3回以上の点検・年1回程度の沈殿固形物の汲み取り・清掃が必要となります。業者によりますが、年間で5万~10万円前後の費用を見込んでおきましょう。
汲み取り式の物件については、基本的に毎月、し尿の汲み取り清掃が必要となり、維持コストがかかります。地域や便槽の大きさ・し尿の量によって金額は大きく異なり、汲み取り式トイレが多い地域では自治体が清掃業務を引き受けている事もありますが、民間業者が回っている場合などでは月額で1万円前後かかるということもあるようです。汲み取り式トイレの場合は購入前に自治体や売主・周辺に住まれている方・汲み取り業者等にし尿汲み取り料金について確認しておきましょう。
また、汲み取り式簡易水洗トイレの場合は、水洗トイレのように大量に水を流すと便槽がすぐにいっぱいになってしまう為、水を流しすぎると頻繁に汲み取り業者を呼ぶ必要が出たり、し尿の量が多くなり多大な費用がかかりますので、注意が必要です。
浄化槽への切替のすすめ
汲み取り式トイレの物件の場合は利便性や長期的な維持コストも考え、浄化槽へ切替されることをお勧めします。
但し、個別浄化槽の設置が認められず、合併浄化槽の設置が必要となります。つまり、トイレだけでなく台所や浴室・洗面など、雑排水に関する配管も浄化槽へ接続する必要があり、大規模な工事となります。地域や業者によりますが、一般的に150~200万円程の工事費用がかかります。※下水道が整備されていない地域では浄化槽設置を推進しており、各自治体から助成金が出たり、自治体へ負担金を納入し浄化槽設置工事(設置のみ。浄化槽から宅内への配管工事は自己負担)をしてもらえたりという制度もありますので、自治体へ問い合わせしてみましょう。

田舎家で注意したいリフォーム箇所

リフォームといえば、①外装・内装の見た目を綺麗にする(キッチンや浴室の機能向上含む)②老朽化や不具合箇所の修繕に大別されます。
②の場合は①も伴って行う事になると思います。この項目では②の修繕に着目します。


田舎の家のリフォームで注意したい点
  • 基礎
  • 耐震性
  • 老朽化
  • 断熱
中古戸建を購入時に注意したい点はやはり老朽化に伴う不具合箇所です。基本的には屋根・基礎・床下の状態・傾きという点が注意したい点になります。
木造住宅や古民家物件といった家に出会う機会が多い田舎の物件では、耐震性や断熱なども気になる点です。
古民家とは言わずとも、昭和56年以前の旧耐震基準で建てられた家では耐震性や基礎の状態(昔ながらの杭基礎など)、山裾に立つ家では床下の湿気・シロアリなどにも注意しておきましょう。現状販売の物件や空き家バンクでの個人間取引では特にこのあたりのリスクも踏まえてリフォーム予算を少し多めに見積もっているといいでしょう。
平成30年4月からはインスペクションがスタートし、不動産業者が介入する取引では売買時に建築士による住宅診断を受けた物件かどうかという説明があり、市場でもインスペクションを受けた診断済みの物件の流通が期待されます。インスペクションを受けた物件ではこういった点について取引時に把握できるので安心して購入できます。

家のリフォーム予算

さて、物件を購入したのち、リフォームをする場合、どの程度の費用をかけるのが一般的でしょうか?
昨今、リフォーム・リノベーションなどがブームとなり、テレビ番組でも取り上げられることがあります。
家の柱・骨格だけ残して全てリフォームする事(リノベーション)については、家1軒建てるのと大差ないほど費用がかかります。
ですが、田舎暮らしを始めたい方が選び抜いた中古物件でそれほど大規模なリフォームが必要でしょうか?
木造の在来住宅などでは、基本的な部分はさわらず、壁のクロスの張替え、床は不具合のある部分の補修、水回りを近代的にと、この程度のリフォームであれば、おおよそ300万円~500万円の予算でも可能です。(前述の浄化槽設置などの工事が発生すれば余分に150万円程上乗せとなります。)※古民家については後述

優先順位を決めて、予算内でリフォームを計画しましょう。

田舎物件(木造中古住宅)のリフォーム箇所の一例
  • 壁クロスの貼替
  • 床の貼替
  • システムキッチン取り換え
  • 浴室取り換え(ユニット)
  • 洗面台取り換え
  • トイレ取り換え
どうでしょうか?これだけでも十分快適な家になります。クロスの貼替では目安として壁や天井1平米あたり800円~1000円、床の貼替は簡易なクッションフロアであれば8帖1部屋で3~5万円程、フローリングの貼替であれば材料によりますが、1部屋10万円前後でも可能です。
システムキッチンや浴室については取り付けるキッチンやユニットバスのグレードにより異なりますが、器具の定価×4~5割引き+工事費用20~30万円程見ておきましょう。(工事が複雑な場合は高くなります。)あくまでも一つの目安ですので、複数の業者さんに見積もりを取ってみましょう。


その他、維持管理の為の大規模修繕
  • 瓦の保守管理・葺き替えなど
  • 外壁・屋根の塗装
  • サイディングのコーキング補修など
その他、経年劣化による屋根や外壁の修繕などは結構な費用がかかります。
瓦屋根の場合は瓦自体がまだまだ綺麗であれば、ズレの調整や漆喰が崩れている部分の補修など数十万円単位での補修、屋根・外壁を全て塗装する場合は規模によりますが100~150万程塗装費が必要となります。長く住むのであればいつかは補修しなければならないので、業者に点検してもらい施工時期やどの程度の補修をするのか計画を練っておく事をお勧め致します。


古民家のリフォーム

古民家のリフォームは、どの程度の範囲で施工するか悩ましい問題になります。
表面上、壁の塗り替えや水回りのみ近代化する等のレベルであれば通常の中古物件と変わりませんが、傾きがあったり床下の腐食の恐れがある場合など経年による劣化が進行している事が多く、気になる点を全て直すとなれば、ほとんどの場合、床を全て剥がして床下の補強や傾きの修正などからかかる必要があり、大規模修繕工事となりますので1000万円以上の費用が発生します。
古民家を購入する際は、どの程度のリフォームをするのかを考えると共に、基本的には1000万円以上のリフォームをしなければ耐震性や経年による劣化の修繕を含めた工事ができないものと思っておきましょう。もちろん、長い年月耐えてきた家ですので、今日明日倒壊するような危険性は少ないと思いますので、気になる点から優先的に工期を分けて維持管理しているという方もいらっしゃいます。古民家物件についてはこういったリスクも承知の上で物件の検討が必要となります。

リフォームに使える!移住支援制度について

当サイト内、複数のページで紹介している移住支援制度
移住するだけで助成金が貰える自治体もありますが、このページではリフォームについての助成金について注目したいと思います。

リフォームに関する助成金の一例
  • リフォーム代の2分の1を助成(上限50万円)
  • 耐震工事費用の2分の1を助成(上限50万円)
  • バリアフリー住宅にすれば助成
こういった助成金は全国各地多くの自治体で実施されています。基本的には移住者(市町村内へ住民票を移す方)や、定住者(市町村内に住民票がある方)を対象にしている事や地域によっては年齢制限があったり子育て世帯については助成金の金額が増えたりと制度はばらばらです。
特に耐震工事についての助成は昨今の相次ぐ地震の影響で多くの自治体が幅広く制度を実施しており、耐震工事を含めたリフォームも検討してみましょう。

セルフリフォーム・DIYにチャレンジ

少数派ですが、DIYがブームとなっており、セルフリフォームにチャレンジする方も増えてきております。
リフォーム済の物件や綺麗な物件ではなく敢えて汚くても安い物件を購入して、自分好みにリフォームします。自分でリフォームする事によって家の構造を知る事ができたり、見えない部分の不具合・違和感を早く知る事や何よりも家に対する愛着が沸きます。
昨今ではホームセンターにDIYコーナーがあったり、ネットショップでもDIYに必要な道具や材料が手に入りやすく、また雑誌やブログなどでもリフォームの方法やアレンジの工夫などのアイデアもたくさん掲載されていますので興味のある方は是非チャレンジしてみてください!

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