田舎暮らし物件の特徴と注意点

田舎物件の特徴と注意点

田舎暮らし物件を購入する際に注意しておきたいこと、街の物件を購入するのと比べ、異なる点についてまとめています。

田舎暮らし物件の特徴・注意点

田舎暮らし物件の特徴

田舎の物件も街の物件も同じ日本で土地・建物にそんなに違いがあるの?と思われる事でしょう。
簡単に言うと、街の物件は「きっちり・細かい・法規制厳しい」田舎の物件は「あいまい・おおまか・法規制緩い」という違いがあります。
田舎の物件の方が緩いならあまり注意しなくていいんだなぁ・・・
いいえ、緩い故に注意が必要なのです。

例えば、境界の取り決めが緩いと境界の紛争に巻き込まれるかもしれません。
規制があまりないという事はある意味無法地帯という事でもあります。
もちろん規制が緩く自由が利く点もありますが、田舎物件の特徴を理解しておきましょう。
それでは色んな視点から田舎暮らし物件の特徴と注意点を見ていきましょう。

地域ごとで異なる特徴や注意点

人口密度が高く、市町村が豊富な税収によって小さなエリアをカバーできる都会とは違い、田舎では広大な面積の田畑に加え山林まで少ない人口による税収で支えていかなければなりません。行政だけで対応できる範囲は限られており、各自治会・住民で農道や水路・ため池の維持管理、消防署だけではなく地域住民による消防団など、協力してやっていかなければなりません。
自分たちが住む地域を自分たちの手でしっかり管理しているというのが実情なのです。
地域によって、行事や共同作業の頻度が異なり、また自治会費などの地区費の負担が多い地域もありますので、物件購入前に移住後の負担が大きくないか・その地域で生活していけるか確認しておきましょう。
その全てに出席するのは無理としても、田舎に住む場合はある程度は付き合う覚悟が必要です。 
後々、無理が来ないよう、お付き合いの頻度を確認しておきましょう。

田舎物件業者の選び方

田舎暮らし物件を取り扱っている不動産業者は大きく2つのタイプに分かれます。
地元の不動産を扱う不動産業者、田舎暮らし物件に特化し、特定の地域ではなく広域で取り扱っている業者。
地元の不動産業者では地域に精通しており、地域について詳しく教えてもらえ、移住後についても相談する事ができます。(もちろん業者の対応によります)
一方、広域で田舎暮らし物件を扱っている不動産業者では、街の人の移住サポートが中心になり、特定のエリアに絞り込んでいない人には幅広く物件情報を提供してもらえる点、街からの移住に際しての注意点、各地域ごとに異なる点など広い視点からサポートしてもらえる利点があります。
一概にどちらの業者が良いとは言えませんが、電話・メールでの問い合わせ対応など親身になって相談にのってもらえる業者・物件について事実をしっかり伝えてくれている業者(良い所ばかりでなく、悪い点も教えてくれる)が良いでしょう。

田舎物件・土地についての注意点

田舎の土地を購入する際に注意する事。
田舎物件の土地は、分譲された土地と違い、形も大きさもバラバラ。
広い土地の中に他人地が一部介入しているという事も。
その他、土地の地目が田・畑という農地になっている場合や保安林になっている、都市計画法で市街化調整区域に指定されている、接道や崖条例・建築基準法上の問題など、購入に支障のある物件や購入できても使用に支障のある物件もあるので注意が必要です。
また、境界についてもハッキリとしていない物件もあるので注意しましょう。

境界について

田舎物件で、一番注意が必要なのは境界問題。
街でよく起こるのは塀や造作物、屋根の越境など境界で揉めているという境界問題です。
しかし、田舎で起こる境界問題は境界があいまいという問題。
これは、実際不動産取引の際に問題にみられるのですが、田舎の人にとっては境界を特定させようとする事が問題になることもあります。
特に山林などでは、立木の種類(松の木と杉の木の境目)が境界など取り決めがあいまいなのです。
また、相続などにより所有者が多数になったりして、専門家へ依頼し広大な土地で各土地ごとの境界について立会して境界標を打ってという作業になるとその費用は膨大なものになります。
少し脱線しましたが、山林でなく、一般の住宅地であっても街の物件とは違い土地が広く、境界ギリギリのところに建物を建てるという事がない、
元々親兄弟・親戚の土地という間柄や昔から居住している人同士で境界を取り決める習慣がない事も多く、境界についてはあいまいな事が多いのです。
田舎物件を購入する際、境界がはっきりしているに越したことはないですが、特定できない物件が多い事も理解しておきましょう。

物件自体や隣接地が建築等の際に専門家により地積測量図を作成している場合はハッキリと境界がわかるほか、最近では行政により国土調査(地籍調査)が進んでおり、境界・筆界の特定ができている物件も増えております。
そういった物件ではより安心して取引できるでしょう。
国土調査が済んだ物件かどうかは法務局備え付けの地図(いわゆる公図)を見ればわかります。
国土調査が済んでいれば法第14条・地籍図という文字が記載されています。
ただ、国土調査の実施時期が20年以上前の場合もあり、当時と現在での測量技術の違いや保存されている図面により国土調査住んでいるからといって必ずしも境界がハッキリ分かるとは限りません。

飛び地について

広大な土地の物件や農地付きの物件情報を目にすることが多い田舎暮らし物件
注意しておきたいのは飛び地問題、田舎では相続などにより土地の所有者不明になっているケースや国土調査が行き届かず筆界・境界があいまいな物件の他、昔の田・畑などを離れた立地でも同じ地番で管理していた等の理由により飛び地になっている物件が存在します。例えば100番地という土地があったとしても、複雑な地形で土地が東西に完全に切り離されていることも。その間に他人地が介入している場合は要注意です。
また、購入される物件が大きければ地番が複数の筆に分かれており、一体として売買されるが、田や畑、その他雑種地・山林などが道路を挟んだ場所や数百メートル離れた場所であるということもあります。この場合、総合面積で広大であっても住宅が建っている土地はそれほど大きくなく、離れた場所にある方の土地が広大であるということも。一枚の大きな土地と思い込んでしまわないよう、地番・筆数、位置関係など確認しておきましょう。

農地の購入についての注意点

農地(地目が田・畑)の物件は農地法の制限を受ける為、注意が必要です。農地委員会にて農地ではないという判定を受けている物件については地目が田や畑でも所有権移転登記ができるのですが、農地扱いの判定を受けている物件については、農地法の制限により所有権移転ができません。
こういった物件では仮登記という形をとり、所有権移転ではないものの第三者より先に登記順位を抑えるような形での登記をしておき、現実の使用・所有などの期間を置いて既成事実を作り、農地委員会の許可を得てから所有権移転に移ります。農地委員会への許可が必要であること、所有権移転までに年月がかかることなど踏まえ、取引内容をしっかり理解した上で購入するようにしましょう。

法令上の問題について

基本的に規制の緩い田舎物件ですが、地域や物件の立地条件により規制がよりキツイ事があります。
例えば市街化調整区域。どこかで聞いたことがないでしょうか?
市街化調整区域とは、都市計画法の定義で「市街化を抑制すべき区域」とされます。
この区域では、開発行為は原則として行わず、都市施設の整備も原則として行われない。
つまり、新たに建築物を建てたり、増築することを極力抑える地域となります。
ただし、一定規模までの農林水産業施設や、公的な施設、および公的機関による土地区画整理事業などによる整備等は可能である。

簡単に言うと、住宅を建てたり、お店を作って街にしたくない地域です。いわば田舎らしく田畑・山林を残しておきたい地域なのです。
それでは市街化調整区域内には家は建てれないの?と思いますが、例外があります。
田畑を営む農家の人の住居や農業用倉庫、また農家の分家の方や、その地域で生まれ育った地縁者の方々の住居に関しては可能です。
その他、都市計画法が制定される前から家が建っていたような土地や市街化調整区域に指定される前から存在している家の建て替えなど。
限られた要件で建築や居住が認めれれております。
市街化調整区域は全国土の10%程が該当するといわれており、田舎物件の中でも比較的、街に近いエリアに多くみられます。
不動産業者が介入する取引では重要事項説明の中でしっかりと説明されますが、個人間取引や空き家バンクなど物件購入時には役場に都市計画区域の確認を行い、市街化調整区域に該当する場合は再建築や居住する事に問題がないかしっかりと確認しておきましょう。
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市街化調整区域の他にも都市計画区域内であれば建築基準法に沿った適法な建築物であるか(例えば、接道要件というものがあり基本的に幅4m以上の道路(公道)に間口2m以上接していなければならない事 ※私道の場合や幅員が4mない場合にも認められる場合もあります。)という点もしっかり確認しておきましょう。
田舎の物件はそもそも道が細かったり、他人地を通行して出入りするような土地であったりという事も・・・。

【都市計画の分類】
都市計画区域内・・市街化区域 (すでに市街化になっている区域、将来的に市街化にしたい区域)
       ・・市街化調整区域(市街化を抑制したい区域、原則建築不可)
       ・・非線引き区域(上記以外の区域、建築可能)
都市計画区域外(上記以外の区域、建築は基本的に自由)
 
※建築基準法の単体規定(構造強度、採光、通風など、防火、避難、室内空気環境(俗に言うシックハウス関連)、その他、安全性に関する規定についてはどの地域でも順守する必要があります。
※当サイトでは簡単な説明にとどめています。詳細については個別に行政庁にご確認下さい。

他にも田舎物件で多いのは裏山が差し迫っている物件、急こう配の傾斜地に接する物件など。これらの物件では土砂災害警戒区域・特別警戒区域の他、都道府県ごとの条例で崖条例というものがあり、再建築に制限を受けたり一定の要件を満たす必要があるといった制約を受ける場合があります。

法令はどんどん厳しくなりますが、もともとなぁなぁで通っていた田舎社会。
法令が整備されても街のように土地の形状や道路が整備されていないケースがあり、既存の物件でも将来の建替えの際には現在の法令に適合する必要があるというケースが多々あることに注意しましょう。

田舎物件・建物についての注意点

田舎暮らし物件で流通している建物は築後20年以上のものが多いです。
中には筑後100年からなる古民家物件などもありますが、当然古くなればなるほどリフォーム・修繕が必要な物件が多くあります。
購入前にしっかりと内見し、リフォーム・修繕が必要な場合、見積もりしておきましょう。
全く不具合のない綺麗な物件を求める場合は不動産業者がリフォーム済みで売り出している物件や新築物件で探すほかありませんが、当然価格も高くなります。
安くて良い物件を探される方はある程度の汚れや不具合についても理解を示し、必ずしも入居前にリフォームや修繕が必要というケースばかりではないと思いますので、長期的な計画を立て将来的に修繕・リフォームをしていくというのも一つの方法です。

上下水道について

田舎では下水道が普及していないエリアは沢山あります。下水道がないエリアでも物件敷地内に浄化槽が設置されトイレは水洗式になっている場合もありますが、中には汲み取り式の旧来のトイレのままという物件も数多くあります。
更に地域によっては上水道がないエリアもあり、その場合は井戸や近くの山から湧き水を引水しているというケースも少なくありません。
不便な田舎暮らしを覚悟していてもこの点だけはどうしても許容できないという人も多くいらっしゃると思います。
購入時には上下水道はどうなっているのか?たとえ現状上下水道がなくても工事すれば可能か?などしっかりと確認しておきましょう。

下水道がない場合
 浄化槽(微生物によるろ過装置で綺麗な水に分解し水を水路に放流。業者による定期点検の他、固形物は年に一度程度汲み取り・清掃が必要)
 ・合併浄化槽(トイレ・台所・浴室の雑排水をまとめて処理する浄化槽)
 ・個別浄化槽(トイレのみ処理する浄化槽 ※現在新設は認められない)
 汲み取り式(いわゆるボットン便所や簡易水洗※少しだけ水が流れるタイプ そのまま便槽に貯まるので月に一度程度汲み取りが必要)
汲み取り式の物件は水洗化する為には浄化槽の設置が必要となります。
  浄化槽設置には多くの自治体が助成金を出してくれますが、それでも水洗化工事・リフォームで200万円程必要となります。
上水道がない場合
 井戸 地下20~50m程ボーリングし管を入れてポンプで汲み上げる方法が主流。
    水道と同じように蛇口を回すとポンプが動き水が出るので使い勝手は水道と同じ。
    (昔の様にバケツで組んだり手動ポンプはほとんどない)
 山水の引水 (山水を井戸のような施設へためておきポンプで送水する方式が多い。)

 井戸も山水も保健所の検査を受け、飲用水として使用可能か確認しておきましょう。
 飲用不可の場合は浄化装置の設置や、洗い物やお風呂のみに使用して、飲用水は購入する必要がある。

 

その他注意点

【未登記物件】
田舎ではよくある問題。
倉庫や車庫の場合が多いが、中には古い家が登記されていないままということも。
未登記物件は住宅ローンを組むときに登記する必要があり、登記費用(規模によりますが10万円前後)がかかります。
現金で購入する際は未登記のまま手続きも可能ですが、登記のような所有権を明確に示すものではなく、
固定資産税の課税台帳の名義人変更や、契約書上で未登記物件の売買について明記した書類の取り交わし程度となります。
なお、未登記でも固定資産税は課税されます。

【越境問題】
そもそも境界の取り決めがあいまいな田舎では、土地が広いにもかかわらず車庫や家の庇が越境しているなんてことも。
そのほか、道路の整備が進んでおらず隣接地の一部を通路として利用していたりということもありますので、覚書などの書類で通行についての取り決めや越境についての問題の明記、将来の対処方法などの協議をしておきましょう。

【環境】
田舎暮らしをするからには空気が良く景色な綺麗な所。
と思い描く人が多いでしょう。
景色は物件見学時に判断が可能ですが、注意しておきたいのは家畜などの臭い。
豚・鶏・牛などを飼育している所に近いとどうしても臭いが発生します。
地元の美味しい食材でもありますが、苦手な方は気にかけておきましょう。
物件見学時に臭いを感じなくても風向き等で変わる事もあるので、物件周辺にそういった施設があるか地図等で確認したり、何度か訪れてみて確認しましょう。

それでも田舎物件は素晴らしい

さて、沢山注意点、問題点を記載しましたが、そもそも個々の土地に関して大きな取り決めをしていない事。
現在社会が法令上の制限を強くしている事で田舎物件が無法地帯のように感じられます。
もともとは近所付き合いが盛んで地域のみんなが協力して形成されていたのが田舎のコミュニティです。
個々の土地についてはあいまいなのに村のしきたりは厳しかったりと街の人からすれば不思議な世界かもしれません。
街から移住してくるあなた自身の姿勢、コミュニケーションによって快適な移住生活が待っています。
田舎物件の特徴、田舎のコミュニティーの特徴を理解したうえで田舎暮らしを検討しましょう。
自然の素晴らしさ、人の温かさ、食べ物の美味しさは本当に素晴らしいものです。

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